お得感を表現する手段として「50%OFF」や「3万円引き」等の表示もよく使われています。
今回はこのような割引率や割引額の表示上の注意点について見ていきたいと思います。
割引率又は割引額の表示
「50%OFF」や「3万円引き」等の表示方法は、二重価格表示における「比較対照価格と販売価格の差」を「割引率」又は「割引額」で表示したものと考えられ、景品表示法上の注意点としては、基本的には二重価格表示の考え方と同じになります。
つまり、算出の根拠となる価格や割引率又は割引額の内容等について、実際と異なる表示をしたり、あいまいな表示を行ってしまった場合、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当する恐れがあるということです。
一括的な割引率又は割引額の表示
割引率又は割引額の表示には、取り扱う全商品又は特定の商品群を対象として一括して割引率又は割引額を表示する場合があります。
このような一括的な割引率又は割引額の表示は、個別品目ごとに値引き表示を行う場合のわずらわしさを回避したり、一般消費者に対する訴求力を高めたりする利点があります。
その訴求力が強いがゆえに、一括して割引率又は割引額の表示を行う場合には、算出の根拠となる価格、適用される商品の範囲及び適用されるための条件について明示することにより、一般消費者に誤認を与えないようにする必要があります。
なお、取り扱う全商品又は特定の商品群を対象とする一括的な割引率又は割引額の表示については、次に例示するような場合を除き、通常は、不当表示に該当する恐れはないとされています。
不当表示に該当する恐れのある表示
一括的な割引率又は割引額を用いた次のような価格表示は、不当表示に該当する恐れがあります。
適用対象となる商品が一部のものであるにもかかわらず、その旨を明示しないで割引率等を強調した表示をしたケース
例)適用される商品の範囲を明示しないで、「家電5割引セール」と強調して表示しているが、実際には、一部の商品のみが5割引の対象となっているにすぎないとき。
表示価格をいったん引き上げた上で、割引率等を用いた表示をしたケース
例)「冬物衣料表示価格から3割引」と表示しているが、実際には、適用対象となる商品の表示価格がセール直前に引き上げられているとき。
セール実施の決定後に販売が開始された商品を対象として、割引率等を用いた表示をしたケース
例)「牛肉全品2日間に限り店頭価格から3割引」と表示しているが、実際には、適用対象となる商品のうち、一部の商品がセール実施の決定後に販売が開始された商品であるとき。
最大割引率又は最大還元率が適用されるのが一部のものであるにもかかわらず、多くの商品について最大割引率等が適用されるかのような表示をしたケース
例)個々の商品ごとに割引率を表示せずに「★マークがついている商品は、5~20%値引きします」と表示し、かつ、「5%」を著しく小さく記載し、「20%」を大きく強調して表示することにより、あたかも多くの商品について「20%」の割引が適用されるかのように表示しているが、実際には、20%の割引の対象となるのは一部の商品に限定されているとき。
例)個々の商品ごとにポイント還元率を表示せずに「全商品10%、15%、20%ポイント還元」と還元率が大きくなるにつれて文字を大きく表示し、かつ、「20%」を強調して表示することにより、あたかも多くの商品について「20%」のポイント還元が適用されるかのように表示しているが、実際には、20%のポイント還元の対象となるのは一部の商品に限定されているとき。
任意に設定した価格を算出の根拠として、割引率等の表示をしたケース
例)「ブランドバッグ8万円の品3割引5万6千円」と表示しているが、実際には、算出の根拠となる価格が任意に設定された価格であるとき。
まとめ
「全商品10%、15%、20%割引」と割引率が大きくなるにつれて文字を大きくしたデザインは、チラシや店内のPOPでも見かける表現手法ですが、一歩間違えると不当表示とされる恐れが隠れています。
デザインを発注する方も、デザインを制作される方も、そのときどきの割引率等の内容に合わせて、適切な表示ができるように心がけましょう。