景品表示法は、「特定の表示をあらかじめ義務づける法律」ではなく、「基本的に表示は自由だけど、実際のものよりもすごくいいものだと誤った判断を一般消費者に与えるほどの虚偽・誇大表示を禁止する法律」です。
景品表示法で定められている項目の中で『優良誤認表示』は主に商品の品質や規格の表示に着目したルールになります。
今回は広告デザイン制作に携わる方が知っておいたほうがいい注意点を見ていきたいと思います。
優良誤認表示とは
一般消費者に対して商品やサービスの内容を実際よりも非常に良いものと魅力的に表現された、誤認を与える表示になります。
例えば、実際は効果が科学的に証明されていない健康食品を「○日でダイエット成功!」と表示したり、住宅リフォームで標準的な施工にもかかわらず「業界最高品質」と表示したりしたものがこれにあたります。
デザイン制作時に気をつけるポイント
広告デザインの現場で注意が必要な具体的なポイントを見てみましょう。
客観的根拠を確認
デザインに記載する文言が事実に基づいているかを確認します。
- 「日本一」「最安値」といった表現は、その根拠を裏付けるデータが必要です。
- 使用するデータがいつのものかも確認します。
商品・サービスの効果や性能に優良誤認表示の疑いがもたれた場合、消費者庁からその表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求められます。
その資料が提出できない場合、その表示は不当表示とみなされてしまいます。
比較表現の扱い
競合商品と比較する場合
- 正当な基準で比較しているか。
- 比較の範囲や条件が適切であるか。
例えば、予備校の合格率を他校とは異なる方法で数値化して「合格率No.1」と謳った場合、不当表示に該当するおそれがあります。
使用する写真やビジュアル
商品の魅力を伝えるために著しく誇張された加工をしていないか。
例えば、実際には2%の果汁を使用した飲料を、まるで果汁100%であるかのごとく表現したパッケージは不当表示に該当するおそれがあります。
注意が必要な誇張表現の例
「初めての○○」または「唯一の○○」
- 「世界初の技術を採用!」
- 「この地域で唯一の特許技術!」
競合が同様の技術を使っている場合や、特許が限定的な用途にのみ適用されている場合に問題になる可能性があります。
「完全に○○」または「100%○○」
- 「完全防水!」
- 「天然成分100%使用!」
商品が特定条件下では効果を発揮しない場合(例:高温で防水性能が低下する)や、添加物が含まれている場合、不当表示とされる場合があります。
「今だけ」「限定○○個」
- 「今だけの特別価格!」
- 「限定50個販売!」
実際には「今だけ」ではなく、幾度となく販売されていて、限定数が超過している場合は注意が必要です。
特に「限定」の表示は、販売終了後もその表示が続くと指摘を受ける可能性があります。
「業界No.1」「トップシェア」
- 「業界No.1人気!」
- 「トップシェアを誇る熱い商品!」
業界の定義が確認できない場合や、調査データが第三者機関によるものではない場合は信憑性が問われます。
データの出典元や期間を明確にする必要があります。
「必ず○○」または「絶対○○」
- 「必ず結果が出るダイエッ ト法!」
- 「絶対に効果がある治療法!」
効果が個人差による場合がほとんどのため、「必ず」「絶対」は過剰表現と見なされるおそれがあります。
「医療関係者が推奨」または「専門家も認める」
- 「医師が認めたサプリメント!」
- 「専門家も太鼓判!」
実際に医療関係者や専門家が推奨している事実がない場合、一般消費者に誤認を与えます。
推奨の事実がある場合でも、誰がどのように推奨しているかを具体的に記載する必要があります。
「永久保証」
- 「永久保証付きの商品!」
- 「一生壊れない耐久性!」
「永久保証」が実際には一定期間内の保証である場合や、保証条件に制限がある場合は問題となります。
まとめ
故意に偽って表示する場合はもちろんのこと、誤って表示してしまった場合であっても、優良誤認表示に該当する場合は、景品表示法により規制されることになりますので注意が必要です。
広告デザインにおける信頼性は、企業のブランド価値といえるでしょう。
一般消費者に不快感・誤認を与えない正確な情報を伝えることが、長期的な信頼関係を築く基となります。
法令を遵守したデザインを心がけることで、安心して選ばれる企業・サービス作りに貢献できるよう取り組みましょう。