前回まで景品表示法の有利誤認表示にかかわる「二重価格表示」と「割引率(額)の表示」を見てきました。
今回は「販売価格の安さを強調するその他の表示」について見ていきたいと思います。
販売価格の安さを強調するその他の表示は大きく分けて2つ
「倒産品処分」、「工場渡し価格」等、販売価格の安さの理由を説明する表示。
「大幅値下げ」、「他店より安い」等、販売価格の安さの程度を説明する表示。
チラシや店頭で、取り扱う全商品又は特定の商品群を対象に、このような表示をすることもよく見かけます。
これらの販売価格が安いという印象を与えるすべての表示が景品表示法上問題となるわけではありません。
しかしながら、セール価格が通常時等の価格と比較してほとんど差がなかったり、適用対象となる商品が一部に限定されているにもかかわらず、表示された商品の全体について大幅に値引きされているかのような紛らわしい表示など、実際と異なる安さを強調するものである場合には、一般消費者に誤認を与え、不当表示に該当するおそれがあります。
また、競合店舗の販売価格よりも自店の販売価格を安くする等の広告表示において、適用対象となる商品について、一般消費者が容易に判断できないような限定条件を設けたり、その限定条件を表示する際に価格を安くする旨の表示と比較して著しく小さな文字で表示するなど、不明瞭なかたちで価格の有利性を殊更強調した表示を行うことも、一般消費者に誤認を与え、不当表示に該当するおそれがあります。
不当表示に該当するおそれのある表示
表示された商品の全体について販売価格の安さを強調する次のような価格表示は、不当表示に該当するおそれがあります。
通常時等の価格と比較して特に安くなっている商品がなかったが、安さの理由を説明する用語を用いて表示を行ったケース
例)「製造業者倒産品処分」と強調して表示しているが、実際の商品は製造業者が倒産したことによる処分品ではなく、当該販売店が継続的に取引のある製造業者から仕入れたものであり、表示された商品の販売価格は従来と変わっていないとき。
対象商品が一部に限定されているにもかかわらず、安さの理由を説明する用語を用いて表示を行ったケース
例)「全品工場渡し価格により御奉仕」と強調して表示しているが、実際には、工場渡し価格により販売される商品は表示された商品のうち一部の商品に限定されているとき。
通常時等の価格と比較して特に安くなっている商品がなかったが、安さの程度を説明する用語を用いて表示を行ったケース
例)「他店よりも販売価格を安くします」と強調して表示しているが、実際には、表示された商品について、他店よりも安い価格で販売を行わないとき。
対象商品が一部に限定されているにもかかわらず、安さの程度を説明する用語を用いて表示を行ったケース
例)「他店チラシ掲載売価より更に10%以上安くします」と強調して表示しているが、実際には、他店の価格と比較できる商品は表示された商品のうちの一部の商品に限定されているとき、又は他店のチラシ価格よりも価格が安く設定されていない商品があるとき。
まとめ
安さの理由や安さの程度を説明する用語等を用いて、販売価格の安さを強調する表示を行う場合には、適用対象となる商品の範囲及び条件を明示するとともに、安さの理由や安さの程度について具体的に明示することが大切です。